「伴走することが信頼の鍵」マーケティングのプロが導くターゲット設定と、成果を出した2つのテレビCM
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阿部 智樹 氏
株式会社ラクーンホールディングス 取締役経営管理本部 経営企画部長
大橋 正人 氏
株式会社ラクーンフィナンシャル マーケティング部長
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南坊 泰司
株式会社manage4 代表取締役／マーケティングディレクター
株式会社ラクーンホールディングスは、EC事業、金融事業、保証事業という複数の事業を行っており、「企業活動を効率化し便利にする」ことを経営理念として掲げています。 2022年に中期経営計画を発表。メーカーと事業者が利用する卸・仕入サイト『スーパーデリバリー』や、中小企業向けネット完結型の売掛保証『URIHO』など、各サービスのマーケティングを強化し、マス広告を展開するうえでプロの力を借りる決断をしました。 弊社の代表取締役兼マーケティング・ディレクターの南坊泰司は、2023年5月から2024年4月までの1年間、全事業を横断的に支援しました。
プロの力を借りた、全事業のターゲット設定の見直し
株式会社ラクーンホールディングス 取締役経営管理本部 経営企画部長 阿部智樹氏
今年4月にプロジェクトがフィナーレを迎えたばかりですが、あらためて弊社にご依頼いただくまでの経緯をお聞かせいただけますか。
ラクーンホールディングスは2022年6月10日に中期経営計画（2023年4月期～2025年4月期）を発表し、現在はその3期目にあたります。2期目の戦略として、マーケティングをさらに強化しようという意思決定がありました。
大きな予算を取り、その活用方法を検討しましたが、内部のリソースだけでは最適な分配ができないのではないかと感じたため、外部の力を借りることにしました。そこで、ある企業から何名か紹介していただき、その中から南坊さんにお願いすることにしました。
複数の候補者がいる中で、私にご依頼いただいた理由は何でしょうか？
そういえば、お話ししていませんでしたね（笑）。弊社には大きく2つの点が不足していると感じていました。1つ目は、マーケティングを理解している、いわゆるプロの人材が社内にいないこと。全員が試行錯誤でやってきたため、「なぜここでマーケティングに踏み込むべきなのか」という理由を言語化し、共通認識として持つ必要性を感じていました。
もう1つは、マス広告を展開したいという考えがあったからです。そのため、マス広告の経験があり、マーケティングに精通している人材を探していたところ、南坊さんが適任だと感じたのです。プロジェクトに参画していただく前からターゲット設定や具体的な取り組みの提案をしてくれたのは南坊さんだけでした。
株式会社manage4 代表取締役／マーケティングディレクター 南坊泰司
ラクーンホールディングスさんは、EC事業の『スーパーデリバリー』と『SD export』、決済事業の『Paid』、保証事業の『URIHO』や『ラクーンレント』と、異なる複数の事業を展開しています。複数の事業のプロジェクトを横断的に支援するのは初めてのケースでしたが、業種や業態、BtoBやBtoCに関係なく、マーケティングの基礎は同じなので、ぜひチャレンジしたいなと。その気持ちから、プロジェクト参画前からいろいろ提案してしまったのかもしれません（笑）。
実際にプロジェクトが立ち上がってからは、全事業の担当者に集まっていただき、マーケティングの基礎的な考え方やペルソナ、カスタマージャーニーについて共有しました。そのうえで、御社の事業に基づいた課題を出し、考えていただき、フィードバックを繰り返しましたね。
個人的に、各事業のターゲット設定が甘いと感じていて、南坊さんからも同様の指摘をいただいたので、最初の3か月でこれまでの施策に何が不足しているのかを見つめ直すことができたと思います。
株式会社ラクーンフィナンシャル マーケティング部長 大橋正人氏
私も改めてペルソナを策定し、カスタマージャーニーを作成することが必要だと感じていました。事業やサービスによって作り込み方に差があったので、一度全体をそろえるだけでなく、ターゲット設定も効率的に行うことができました。最初の段階で南坊さんに“柱”と“共通言語”という軸を作成してもらったことは、現在もプラスに働いています。
テレビCMの成果と予算配分で、南坊さんの存在が重要に
結果的に、南坊さんにご依頼した期間は昨年5月から今年4月までの1年になりましたが、その間、予算を活用するうえで、どの事業にマーケティング予算を振り分けるのが有効か試行錯誤しました。まず、弊社の最も大きな事業である『スーパーデリバリー』に関して、9月に大きなプロモーションを行いたいというリクエストを南坊さんにお伝えし、7月頃からテレビCMの制作を開始しました。
最初の3か月で共通言語ができたことで、私としても事業理解を深め、テレビCMの具体的なターゲットや役割、KPIなどをスムーズに決めることができました。プロジェクト全体として、とても良い進め方だったと思います。
出典元：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001390.000003091.html
2020年に一度ウェブCMを制作したことはあるのですが、具体的な目標がなく、試してみたという感じで。これまでウェブ広告やリスティング広告中心に活動してきた弊社にとって、「それでいくら回収できたのか？」という議論に終始してしまいました。しかし、南坊さんがテレビCMの目的は認知の拡大だと明確にゴールを示してくれたことで、我々も考えながら動けたと思います。
マーケティングには、見込み顧客を獲得する活動と、見込み顧客そのものを増やす活動があるというお話をしました。昨年9月に『スーパーデリバリー』、今年2月に『URIHO』のテレビCMを制作しましたが、どちらも見込み顧客そのものを増やすことを目的にしました。
出典元：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001401.000003091.html
南坊さんの“池の魚の話”が、とても印象に残っています。
池にいる魚が見込み顧客だとして、釣っていけばいずれ魚はいなくなる。そのため、大河から池に魚を流入させる必要がある。これがテレビCMを活用した認知拡大だという説明をさせていただきましたね。
数字としてテレビCMの成果が出ただけでなく、予算の割り当てでも南坊さんの存在に助けられました。大きな会社ですから、私が「制作費にいくら使用する」と言っても、すぐに実行できるわけではありません。「なぜこの金額をテレビCMという飛び道具に使用するのか」という点に納得感が生まれず、賛同しない方もいます。しかし、マス広告の豊富な経験を持つ南坊さんがアドバイスしてくれたことで、非常に進めやすかったです。
テレビCM以外では、現場の担当メンバーの動き方が変わりました。南坊さんと一緒に作成した戦略の軸をサービスごとに設けたことで、その軸に基づいて具体的な施策の話ができるようになったのが大きな変化です。以前は施策だけの話が現場で行われていましたが、戦略の軸となる部分があったかどうかには疑問があり、そこがクリアになりました。
そうですね。基礎が明確になったことで本質的な議論が短時間でできるようになり、スピード感が上がったと思います。あとは、費用対効果だけでなく、ひとつひとつの積み重ねが結果につながることが理解でき、先々のことも考えた長期的な目線でマーケティングに取り組む力ができました。今後も南坊さんの教えを徹底できるように、写真を額に入れて飾りたいくらいです。まるで先生のような存在です（笑）。
プロを採用する難しさと、信頼できるプロが与えてくれたもの
振り返ってみると、本当に良い形の1年間で、「マーケティングとは何か」をお伝えし、それを実践し、テレビCMを制作することができました。まさに、A to Zのサイクルを実現できたと思います。
ラクーンホールディングスさんは、雰囲気が素晴らしい会社です。マーケティングにはさまざまな情報が出回っており、明確な正解がわかるものは少ないので、難しい分野です。しかし、1年という短い期間で成果が出たのは、フラットな社風と、みなさんがポジティブに受けとめてくれたからではないでしょうか。
そう言っていただけると嬉しいですね。ポジティブに受けとめられたのは、南坊さんのおっしゃることにロジックがあり、信頼できるプロだからです。南坊さんのような経験を持つ方を採用するのは難しいですし、自社で育てることも簡単ではありません。これは弊社だけでなく、多くの企業が抱えている課題だと思います。
南坊さんは弊社の社風だけでなく、各サービスについてもことあるごとに褒めてくれました。自社のサービスに自信を持てたことも、南坊さんが我々に与えてくれたものです。
また、1年間でさまざまな施策を行いましたが、南坊さんに「こういう方向性で考えていますが、いかがでしょうか？」と相談すると、「そのアプローチならこの施策のほうが有効です」や「このターゲットに広告を打つならこの媒体がいいですね」など、具体的なアドバイスをいただき、“伴走”してくれている感覚に助けられました。
私は、伴走することが“信頼の鍵”だと思っています。マーケティングは手段だけに焦点を当てると、本質が見えなくなりがちです。『URIHO』のテレビCMを制作する際、営業の方々がどのようにサービスをお勧めしているのか、お客様からどういった意見があるのかなど、阿部さんや大橋さんだけでなく、さまざまな立場から意見を聞くようにしました。それが信頼につながったのであれば、ありがたいですね。
今回、複数の事業を横断的に支援していただきましたが、連携が途切れないよう、月に一度は南坊さんによる全体向けの講義や最新のトレンドを教えてもらう時間を設けました。広告代理店と事業会社、さらにManage4の事業と、その豊富な経験からくる多角的な視点と密なコミュニケーションが、伴走してくれている感覚につながったのではないでしょうか。
個人的には、南坊さんと1年間プロジェクトを進める中で、マーケティングの軸だけでなく、誰とどうやってコミュニケーションを取るのかという軸も教えていただいたように感じます。
ありがとうございます。ラクーンホールディングスさんのオフィスにはバーのようなコミュニケーションスペースがあり、中間打ち上げの際、みなさんとお酒を飲んだことが思い出に残っています。また乾杯したいですね！
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