「状態」ではなく「動き」を社名に。経営者のアイデンティティを掘り起こすブランディング支援

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    豊間根青地 氏

    うねり株式会社代表取締役

Interviewers
  • 南坊泰司

    株式会社manage4代表取締役/マーケティング・ディレクター

資料作成のプロフェッショナル集団として知られたシリョサク株式会社は、2025年9月1日、社名を「うねり株式会社」に変更しました。現在は研修やコンテンツ制作に加え、Copilotを軸にしたAI活用の推進支援にも力を入れています。 manage4の南坊は、代表・豊間根青地さんの強みを会社の提供価値として言葉にし、社名変更から発信の軸づくりまで、3つのフェーズにわたって支援してきました。 社名を変えてからの1年を、豊間根さんは「腹が決まりきっていなかった」と振り返ります。迷いの時期を経て見えてきた「うねり」の正体とは何だったのか。お二人で支援を振り返っていただきました。

■「わかおも」は状態、「うねり」は動き。社名に込めた力強さ

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南坊泰司
南坊泰司

最初は、知人つながりで一緒に焼き鳥屋に行ったときでしたよね。「川を渡る」話をしたのを覚えています。ものの見方がガラッと変わる瞬間はめちゃくちゃ熱いし、一度渡ったらもう戻れない、と。

豊間根青地
豊間根青地

しましたね(笑)。南坊さんと僕は、こう見えて思想が近いところがあるので。そうした食事の場でブランディングや会社の方向性の話をするうちに、「コンサルティングに入ってください」とお願いしたのが、シリョサク時代の2024年ごろです。シリョサクは資料作成の会社だと見られていましたが、本質はもっと抽象的なところにある。それをどう伝えるか、という相談でした。

南坊泰司
南坊泰司

僕がずっとお伝えしてきたのは、うねりは経営者である豊間根さんが中心にいる会社だということです。経営者の悩みって、わりと普遍的なんですよ。ロジカルに考えれば、社長がいなくても同じアウトプットが出るほうがいい。でも、現実はそううまくいかない。だから、完全には切り分けられない部分は割り切ったほうがいい、と。

豊間根青地
豊間根青地

確かに、シリョサク時代からずっと同じことを言われていますね(笑)。その後、社名を変えるときにも改めて相談しました。社名変更を自分たちだけで進めると、適切なプロセスを踏めないだろうと思ったので。

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南坊泰司
南坊泰司

通常のリブランディングなら会社の棚卸しから始めますが、そこはある程度分かっていたので、まずは豊間根さんの気持ちをめちゃくちゃヒアリングしました。そのうえで、社名の前に「そもそもこの会社の本質価値は何か」をとことん話しましたよね。シリョサクの中で一番本質に近いのは「わかおも」(わかりやすくて、おもしろい)だろう、と。ただ、わかおもは哲学なので、そのまま社名にするのは違う。BtoBの会社として、どんなサービスを提供するのかも表現しなければいけないので、もう一段抽象化する必要がありました。

豊間根青地
豊間根青地

社名案もたくさん出していただきましたね。

南坊泰司
南坊泰司

あえて大量に出しました。豊間根さんは直感ではなく、しっかり考えて進むタイプなので、提案した瞬間に決まるとは思っていなかったんです。考える材料をたくさん渡して、キャッチボールをしながら進める。良さそうな社名を一発でつくることは簡単ですが、ブランディングはプロセスが大事なので。たぶん、最初に「うねり」を出していても決まらなかったと思います。

社名1
社名2

▲実際の社名検討資料より(一部)

▲実際の社名検討資料より(一部)

豊間根青地
豊間根青地

一発目で「どうですか」と言われても、ピンと来なかったと思います。それまでの案にはあまりハマっていなかったんですが、「うねり」だけはパンと光って見えたんです。なんでかは分からないんですけど(笑)。

今でも覚えているのが、南坊さんの「社名は力強さと動きを表すべきだ」という話です。「わかおも」って、状態なんですよね。でも、うねりは動き。構造を変えるようなイメージを想起させる言葉にしたほうがいい、という話もあって、本当にそうだったなと最近改めて噛みしめています。

南坊泰司
南坊泰司

名前に動きや有機性を持たせたかったんです。無機質なものではなく、息遣いのあるもの。最後は「ヘンカク」も有力候補として残っていましたよね。

豊間根青地
豊間根青地

でも、構造的な変化をもたらすという提供価値をクリティカルに表している社名は、「うねり」以外になかったと思います。南坊さんじゃなかったら、絶対に出ていなかったですね。

■「腹が決まるまで1年かかった」社名変更後の迷い

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南坊泰司
南坊泰司

リブランディングから、もうすぐ1年ですね。

豊間根青地
豊間根青地

正直に言うと、僕自身、腹が決まりきっていなかったんです。変えたのは間違いなく正解でした。ただ、「資料作成の会社」という分かりやすさがなくなった分、会社が分かりづらくなってしまって。特に12月ごろは元気がなかったですね。その頃のYouTubeを見てもらうと、露骨に雰囲気が違うと思います(笑)。

腹が決まったのは、ここ1カ月くらいです。1年かかりました。それまで「資料作成」という分かりやすいノウハウだったものが、今は「Copilot」になったんだと、YouTubeやイベントの反響で肌で実感したんです。最近はもう、「Copilot芸人」になると決めました(笑)。

もっと言えば、新しい概念を伝えて、場や人を動かしていくスキル。それがうねりの根幹で、それをサービスにすること、そういう人を増やすことがうねりの価値なんだと、ようやく明確になりました。

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南坊泰司
南坊泰司

豊間根さんは、何か言われてもすぐに「そうですね」とはならないタイプですからね(笑)。だからこそ、あえて案を大量に出したんです。たくさん出すなかで、「これじゃない」が少しずつ分かっていく。

豊間根青地
豊間根青地

先日ある企業の人事の方と話していて、「これじゃないと分かった結果、残ったものが自分のアイデンティティになる」という話になったんです。僕は、「これじゃない」と分かるのに時間がかかったんだと思います。

■会社ではなく「豊間根さん」が発信する。ナラティブを探した3つ目のフェーズ

南坊泰司
南坊泰司

3つ目のフェーズは、一言でいえば「豊間根さん、発信すべし」でした。最初に納得していただいたのは、「会社として何を推していくか」を考えるのはやめましょう、ということです。うねりの場合、会社よりも豊間根さん個人の味のほうが強い。会社としての効率性を考えれば、社長が出なくても回るように作りたくなりますが「この会社はどう発信しますか?」という問いの答えは、どうしたって豊間根さんなんです。

豊間根青地
豊間根青地

それで、noteとX記事を書きまくりましたね。

南坊泰司
南坊泰司

毎週、発信するテーマの候補を出して、そこから豊間根さんが書きたいものを書いてもらいました。その反応を一緒に見ながら、本人の持ち味とうねりのサービスが重なるテーマを絞っていく。バズるかどうかに加えて、周囲の反応や仕事上の手応え、豊間根さん自身の実感も見て、次に何を発信するかを考える。そういう進め方でした。あくまでもこの作業は、発信のナラティブを検討するためです。

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豊間根青地
豊間根青地

バズりはせず、じわじわ、という感じです。でも、ハマるネタは明確に引用されたりする。ニーズがあるから、熱いテーマだから、というだけではなく、うねりや豊間根のパーソナリティと合致したときに届くんです。自分のパーソナリティにあまり自覚的でなかったところから、それが見えてきたのは重要な示唆でした。

南坊泰司
南坊泰司

バズること自体には意味がある場合は少ないんですよ。関係のない人に届いても、仕事が来るわけではないので。刺さる人に刺さればいい。

豊間根青地
豊間根青地

そのなかで浮かび上がってきたのが、「下積み」や「メタスキル」を高めていくというテーマです。社名を変えても、どこか「資料」の会社という見られ方が残っていたなかで、これが一つ明確になった。それをポッドキャストに落とし込んだのが「下積天国」です。

https://x.com/toyomane/status/2117111953537863733?s=19

https://x.com/toyomane/status/2117111953537863733?s=19

南坊泰司
南坊泰司

8月の打ち合わせでは、スタンスを取ることについても話しましたよね。何者でもない人の発信は弱いんです。たとえばAI推進派となれば、「人を削ろうとしているのか」と受け取られる可能性もある。スタンスを取ることにはリスクがあります。でも、取らない限り伝わらない。

豊間根青地
豊間根青地

あの期間はやりきりましたね。振り返ると、やらないことを決めたというより、自分が書きたいものをちゃんと書く、つまりやることを決めたのが大きかったです。

■ブランディングは「包装紙を破いていく作業」だった

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南坊泰司
南坊泰司

3つのフェーズを通して、一番変わったことは何だと思いますか。

豊間根青地
豊間根青地

マインドですね。究極的には、エグゼクティブコーチングに近かったと思います。結局、「豊間根、お前は何者なのか」「何を発信していくのか」ということなので。

ブランディングというと、プレゼントを包装紙でどう包むかという、ラッピングのイメージがあると思うんです。でも今回はその逆で、僕自身も気づいていなかった、何重にも包まれた包装紙を破いていく作業でした。その手段が発信であり、社名変更であり、対話だった。うねりは豊間根というパーソナリティが極めて大きい会社なので、そのプロセスにすごく価値がありました。

南坊泰司
南坊泰司

包装紙を破いた結果、豊間根さんは何者だったんでしょう。

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豊間根青地
豊間根青地

究極的には、「説明」の人です。ここでの「説明」は、説得でも提案でもなく「説き、明かす」という意味。隠されていたものが明らかになる。「面白い」の語源は「面(おもて)が白い」、つまり目の前がぱっと明るくなることだと言われますよね。「説き、明かす」ことで表情が明るくなり、ポジティブな感情が生まれて、行動が起きる。それが連鎖して、うねりになっていく。これが、うねりの究極的なコンセプトです。

そう考えると、最初の話に戻るんですよ。僕は、「説き、明かす」ことで川を渡らせる人なんです。

南坊泰司
南坊泰司

焼き鳥屋の話に、ここでつながるんですね(笑)。

豊間根青地
豊間根青地

そうなんです。事業でいえば、AIを推進する人の中でも、ゴリゴリ開発する人より、その良さを広めるアンバサダー的な存在、つまり「説明の人」をつくる。そこを再現性高くつくれることに勝機があると思っていて、事業にしていこうとしています。

南坊泰司
南坊泰司

僕から見ても、豊間根さんは力強くなりましたよね。もともとは、面白いけれど「お行儀がいい」人で。ご自身でも「東大出身のはっちゃけられない人」とおっしゃっていました。でも、資料から感じる意志には哲学レベルのものがあって、世の中に絶対に伝わる/動かせる能力がある人だと感じていたんです。話してみると力強さや熱さがある。それを素直に会社を通じて世に出せるお手伝いをした、という感じです。

豊間根青地
豊間根青地

相談する価値を一番感じたのは、やはり新社名「うねり」が決まったプロセスです。その前に深く理解していただいていたからこそ、あのプロセスがあった。発信のフェーズも、そこからすべてつながっています。

南坊泰司
南坊泰司

「うねり」はかなりチャレンジングな選択だと意識していました。シリョサクからうねりへは、だいぶ距離がありますから。豊間根さんの判断次第で「ヘンカク」になるかもしれないと思っていたんです。うねりを選ぶのは、まさに川を渡ること。会社として川を渡る気合があるなら、うねりになるだろうと。結果的にそうなって、会社としてもそうなってきている。本当によかったです。

■目指すのは、「彼岸に行くポテンシャルのある人」に推される会社

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南坊泰司
南坊泰司

これから、うねりと豊間根さんのブランドをどう育てていきたいですか。

豊間根青地
豊間根青地

コンテンツやメディアを出して、「よく分からないけど、なんか好き」という人を増やす。定まったアイデンティティをベースに、それを拡大していきたいです。推される会社にしたいですね。「あの会社、センスいいよね」と思われて、推している自分もセンスがいいと感じられるような。

ただ、万人に受けたいとは思っていなくて。それこそ、「彼岸」に行くポテンシャルのある人に推されたいんです。そういう人は世の中にそこまで多くないと思いますが、その人たちの9割に知られている、くらいになりたいですね。

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これから仕事のあり方が大きく変わって、多くの人が迷いそうなときに「うねり」が定義される。みんなにわかおもなコミュニケーションをして、うねりのオフィスに集ってほしいんです。

南坊泰司
南坊泰司

あえて着ている柄シャツも、全部ブランディングとして考えましたもんね。。

豊間根青地
豊間根青地

本当にそうなんですよ(笑)。メディアに出る際に、柄のシャツやアロハシャツを着ることも、南坊さんから勧められました。 manage4の支援をおすすめしたいのは、インフルエンサー経営者、特にインフルエンサーから経営者へ脱皮しようとしている人ですね。もはやエグゼクティブコーチングに近いんですが、発信や見せ方を通じてセルフアイデンティティを確立する。それが会社のブランディングになっていく。これが僕にとって、manage4の支援の一番の価値だったので、そこが必要な人にはめちゃくちゃハマると思います。

南坊泰司
南坊泰司

うねりの場合は、豊間根さん自身の強みが、会社の価値を考える出発点でした。経営者や事業に強みがあるのに、会社として何を打ち出すか決めきれない。発信はしているけれど、事業につながる軸が定まらない。そういう段階で、提供価値を言葉にし、発信と反応を見ながら次の打ち手まで一緒に考えます。これからどんな「うねり」が起きていくのか、とても楽しみにしています。

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